最近、「探究学習」という言葉を耳にする機会が増えていませんか?2022年度からは、高校の新しい学習指導要領にも「総合的な探究の時間」が正式に導入され、全国の中学校・高校で注目が高まっています。けれど、「探究って具体的に何をするの?」「受験に関係あるの?」と疑問を持つ生徒や保護者も多いのではないでしょうか。
これからの時代に必要とされる力——それは、正解を暗記することではなく、自分で問いを立て、考え、仲間と協力して答えを探す力。探究学習は、そんな力を育む“新しい学びのカタチ”です。
本記事では、探究学習の基本的な意味から、実際に学校でどう行われているのか、どんな力が身につくのかをわかりやすく解説します。中高生・保護者・教育関係者の方に向けて、「未来をつくる学び」としての探究学習を一緒に探っていきましょう。
探究学習とは?基礎からわかりやすく解説
「探究学習」とは、一言で言えば“自ら問いを立て、その答えを主体的に考え、行動していく学び”です。文部科学省は、これを「予測困難な時代を生き抜くために、自ら課題を発見し、他者と協働して解決する力を育てる教育」と位置づけています。
従来の「正解のある問い」に答える授業とは異なり、探究学習では「正解のない問い」や「一人ひとり異なるアプローチ」が前提になります。たとえば、「旭川の観光課題を解決するには?」「気候変動とわたしたちの暮らしの関係とは?」など、日常や社会とつながるテーマを扱い、そこから自分なりの問いを立てて深掘りしていきます。
高校では「総合的な探究の時間」という形で時間割にも組み込まれていますが、探究の考え方は特定の授業に限りません。理科の実験でも、国語の読書感想文でも、「なぜ?」「どうすれば?」と問いを立てる姿勢があれば、それはすでに探究の第一歩です。
つまり、探究学習とは単なる“教科の枠を越えた学び”ではなく、これからの社会で必要な「考える力」「動く力」を育むための土台とも言えます。
なぜ今、探究学習が必要なのか?
今、世界は急速に変化しています。AIやロボット、グローバル化、環境問題、少子高齢化…。10年後の社会がどうなっているか、誰にも正確には予測できません。そんな不確実な時代を生きる中高生たちにとって、「正解を覚える力」よりも「自ら考え抜く力」の方が、はるかに重要になっています。
実際、大学入試や企業の採用でも「主体性」「課題解決力」「協働力」といった力が強く求められるようになっています。大学の総合型選抜(旧AO入試)では、探究活動の経験やポートフォリオが評価対象となるケースも増えています。つまり、探究学習の経験は「進学」や「就職」にも直結する時代になってきているのです。
また、企業が求める人材像も変化しています。マニュアル通りに動ける人ではなく、「新しい価値をつくり出せる人」「社会課題を自分ごととして考えられる人」に注目が集まっています。探究学習は、そうした力を学校教育の中で育てる手段として位置づけられています。
さらに言えば、探究は「やらされる学び」から「自ら動きたくなる学び」へとシフトさせる大きなきっかけでもあります。好きなことや身近な疑問から出発できるからこそ、学びが楽しくなり、自分の人生や将来に対して前向きになれる生徒が増えているのです。
探究学習で身につく3つの力
① 自ら問いを立てる力
探究学習の出発点は、「なぜ?」「どうして?」という素朴な疑問から始まります。与えられたテーマに受け身で取り組むのではなく、自分自身で課題を見つけ、掘り下げていく姿勢が求められます。これは、社会人になってからも重要なスキルであり、「何が問題なのかを見極める力=課題発見力」は、すべての仕事の出発点です。
② 情報を集め、整理し、考える力
問いを立てた後には、リサーチ・インタビュー・データ分析などを通じて情報を集め、それをもとに考察します。このプロセスで養われるのが、情報収集力・論理的思考力・批判的思考力です。特にネット社会では「正しい情報を選び取る力」が不可欠であり、探究学習を通じてその判断軸を身につけることができます。
③ 人と協働し、表現する力
探究は「一人で完結しない学び」です。グループで議論したり、発表会で意見を交わしたり、地域の人と対話する中で、協働力とコミュニケーション力が自然と鍛えられます。また、自分の考えを伝えるためのプレゼンやレポートづくりは、「表現力」「要約力」「デザイン的思考」など、社会に出てから活きるスキルそのものです。
学校での想定事例(旭川市など地域性に合わせて)
地域とつながる実践が大きな特徴です。ここでは、北海道・旭川市を中心に、実際の取り組み例を紹介します。
🔸旭川市の高校:地域課題をテーマにした探究プロジェクト
生徒たちが空き家問題について地元の行政・企業にヒアリングを行い、再活用アイデアを提案。
🔸中学生×大学生の協働フィールドワーク
大学生と商店街での聞き取り調査を通じて、街の魅力と課題を再発見。
🔸地域企業との連携:商品開発やPRも
特産品のスイーツ開発やSNSプロモーションなど、実社会のスキルも学べる実践。
保護者・学校関係者にとっての探究学習の意味
キャリア教育との連動
探究学習は進路・職業選択の軸づくりとしても重要です。総合型選抜でも実績として活用され始めています。
成績や学力への影響
論理的思考力や読解力など、教科学力の基盤にもつながるため、探究学習は“楽しいだけ”ではありません。
自己肯定感・意欲の向上
自分で決めて動く経験が、「自信」や「やる気」につながり、学校生活全体に良い影響を与えます。
まとめ:探究学習はこれからの時代の“当たり前”になる
これまでの「教えられる学び」から、「自ら問い、動く学び」へ。探究学習は、まさにこの転換点にある新しい教育の形です。正解のない時代を生きる子どもたちにとって、自分の頭で考え、他者と協力しながら課題に取り組む力は、あらゆる場面で求められる“生きる力”となるでしょう。
保護者の皆さん、先生方、地域の大人たちも、ぜひ子どもたちと一緒に問いを考え、学びを楽しんでください。探究学習は、未来を共につくるための“対話の場”なのです。
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