2025年7月10日、旭川実業高等学校の普通科2年生を対象に、日本政策金融公庫の鹿取大祐氏を招いた「収支計画講座」が開催されました。起業家教育の一環として行われた本講座では、約160名の生徒たちが実際に数値を使った収支計算に挑戦。ビジネスプラン作成に不可欠な「お金の流れ」について、実践的な学びを深めました。
講座開催の背景と目的
旭川実業高校では、将来を見据えたキャリア教育の一環として「起業家教育」に力を入れています。その中でも今回の「収支計画講座」は、ビジネスの構想を数字に落とし込み、現実的なプランとして組み立てる力を養うことを目的としています。
講座は、今後生徒たちが挑戦する「高校生ビジネスプラン・グランプリ」への応募を視野に入れた準備プログラムの一環として企画されました。単なる座学ではなく、自分たちのアイデアを“持続可能なビジネス”へと昇華させるための第一歩として、実践的な学びの場となっています。
講師紹介と主催体制
講座の講師を務めたのは、日本政策金融公庫 北海道創業支援センター 上席所長代理の鹿取大祐氏です。これまで多くの創業希望者を支援してきた立場から、収支計画の基礎だけでなく、その背景にある経営の視点までを、具体的な事例を交えて解説してくださいました。
本講座は、旭川実業高等学校の教員でありながら、地域や企業と学校の連携の橋渡しをしているasporaの代表でツクルヒトを運営する今野(筆者)により企画・運営されたものです。学校教育と実社会を橋渡しする試みとして、校内外のネットワークを活用し、実践的な学びの機会を生徒に提供しました。今回は外部団体との連携はなく、学校と日本公庫の協力により実現したプログラムです。
💡起業家教育の導入をご検討中の学校関係者様へ
本講座のように、公的機関と連携した収支計画の授業は、総合的な探究の時間やキャリア教育にも活用できます。講師派遣や教材提供も可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
講座内容の概要
今回の講座では、「収支計画とは何か?」という基本的な問いからスタートし、売上や原価、人件費、家賃、広告費など、ビジネスを構成する数字の仕組みについて段階的に学びました。

写真は計算方法について解説する日本政策金融公庫 北海道創業支援センター 鹿取大祐氏
▶ 収支計画の基礎理解
生徒たちはまず、「売上=単価×数量」という基本式をもとに、どのように売上を見積もるかを学習。その後、売上原価や経費の計算方法として、日本政策金融公庫が公開している経営指標の使い方にも触れ、現実に即した数値設定の考え方を身につけました。
▶ ワーク演習による実践
講座の後半では、カフェやアプリといった仮想のビジネスを題材に、年間売上高の算出や、原価・人件費・家賃・広告費の見積もりをグループで計算。特に、アンケート結果や人口統計を使って市場規模を推計する演習では、実社会のデータを活用する思考力が求められ、生徒たちも真剣な表情で取り組んでいました。
▶ 顧客視点とプランの整合性
収支の数字だけでなく、「誰に、どのような価値を届けるのか」という顧客ターゲットとの整合性にも焦点を当て、MVP(Minimum Viable Product)や差別化の考え方も紹介。最終的には、ビジネスプラン全体を見渡しながら、「現実に実行できるか」を自ら検証する視点を養いました。
生徒の反応と学び
講座を終えた後、はじめは数字に対する苦手意識から戸惑っていた生徒たちも、徐々に「自分でもできるかもしれない」という手応えを掴んだ様子でした。
ある生徒は、「最初は全く分からなかったけど、コツをつかんできた。計算できるようになってきた」と語ってくれました。実際、講座後半には、グループごとに積極的に取り組み、数式の意味を仲間と確認し合う姿が見られました。
難解にも思える「収支計画」というテーマを、高校生にも分かりやすい構成と表現で丁寧に導いてくださった鹿取氏の講義により、生徒たちは単なる“理論”ではなく、“自分たちの未来に必要なスキル”として受け止めることができたようです。
教員コメントと今後の展望
本講座を通じて、生徒たちは“ビジネスを数字で考える”という新たな視点を得ました。教員として特に印象的だったのは、最初は計算に戸惑っていた生徒たちが、徐々に自ら取り組み始め、グループで数式の意味を掘り下げながら考えるようになった姿です。
「高校生にとってはやや難易度の高い内容でしたが、鹿取氏が丁寧に言葉を選びながら説明してくださり、最後には多くの生徒が収支計画の構造を理解している様子でした」と、指導に関わった教員からも好評の声が上がっています。
今回学んだ内容は、今後生徒たちが挑戦する「高校生ビジネスプラン・グランプリ」のビジネスモデル構築において、核となる部分となります。机上の学びを現実の挑戦へとつなげていくために、今後もこうした実践型の学びを積み重ねていきたいと考えています。
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