教育がまちを変える:探究学習を地域政策へ組み込むために自治体が果たすべきこと 後編

前回の【前編】では、旭川市が抱える人口減少や若者の地域離れといった課題を出発点に、「探究学習」や「起業家教育」がなぜ地方創生とつながるのかを丁寧にひもときました。
全国の小中高で実際に行われているリアルな探究の事例を通して、「教育が変わることで、まちの未来も変わる」そんな可能性を感じていただけたのではないでしょうか。

とはいえ、学校現場だけの努力でこの仕組みを広げるのは難しいのも事実です。
では、自治体として何ができるのか?
そして、それを本気で“まちの仕組み”として根づかせるにはどうしたらいいのか?

【後編】では、自治体が果たすべき役割を「仕組み化」「予算」「教育との接続性」の観点から掘り下げ、さらに地域探究の専門パートナー「ツクルヒト」の支援スキームや導入事例をご紹介します。
未来の旭川を動かす次の一手を、ぜひ一緒に考えていきましょう。

目次

なぜ自治体が主導すべきなのか?探究・起業家教育を地域に根づかせる3つのカギ

単発のプロジェクトで終わらせないために、自治体が「仕組み」を設計する

探究学習や起業家教育の取り組みは、各学校や一部の熱意ある教員によって自主的に行われることが多いのが現状です。
もちろん、そうした“現場発”の活動には多大な価値がありますが、一方で「担当者の異動」や「年度ごとの事業打ち切り」によって、継続性が失われてしまうケースも少なくありません。

ここで重要になるのが、自治体による制度的・構造的な支援=“仕組み化”です。

たとえば、

  • 総合的な探究の時間のテーマ設定に、地域課題や市の重点施策を組み込む
  • 地元NPOや企業との協働を支える中間支援組織を育成・委託
  • 各年度で学校・地域団体を対象に「地域探究推進事業」として予算化する

といったかたちで、学校現場の“熱意”と自治体の“構造”が噛み合う体制を整えることが、地域全体での広がりと持続性を生み出します。

単なる「学校支援」ではなく、地域経営の観点から若者の関与を設計する——
この視点に立てるのは、地域のリーダーである自治体しかありません。


外部予算の活用で“やる気”を“実行力”に変える

多くの自治体が、教育や地域振興に関する取り組みにおいて「予算の壁」にぶつかります。
しかし近年、探究学習×地域連携を後押しする補助金・交付金制度は確実に増えています。

たとえば、以下のような制度は、探究学習や起業家教育を対象にした実績があります:

  • 文部科学省「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(地域協働推進校)」
  • 総務省「地域人材育成推進交付金」「地域おこし協力隊 × 教育」モデル活用
  • 内閣府「地方創生人材支援制度」…若者参画型の事業提案に対する支援枠あり
  • 各都道府県の「特色ある学校づくり支援事業」「教育のデジタル活用推進補助」など

重要なのは、これらの外部資金の多くが“教育課題”ではなく“地域課題”として申請できる構造になっていることです。
つまり、学校が単体で申請するのではなく、自治体が旗を振り、地域内の学校・企業・団体を巻き込んだ形で提案することで採択可能性が大きく上がるのです。

市の総合計画や地域創生戦略の中に「若者参画」や「人材育成」を明記し、教育との接続に取り組む姿勢を見せることが、補助金獲得の“説得力”になります。

教育委員会・学校との接続役は自治体にしかできない

現場の学校にとって、「地域と連携して新しい学びをつくる」ことは、言うほど簡単ではありません。
授業時数、学年の進度、進路指導との整合性、保護者の理解——多くの調整課題が存在します。

ここでこそ、自治体が“教育と地域をつなぐ翻訳者”の役割を果たすべきです。

たとえば、

  • 教育委員会と連携し、探究活動を評価対象に含めるための制度設計を進める
  • 地元事業者やNPOと学校側の“意図のすり合わせ”をサポートする
  • 複数校で連携した広域探究プログラムを設計し、市単位でのモデル化を行う

こうした“接続支援”ができるのは、学校現場でも企業側でもなく、両者に公共的責任を持つ自治体だけです。

そしてこれは、単なる教育支援ではなく、自治体が「地域の未来像」を描く上での実践的な行動でもあります。

自治体主導が未来を変える——「教室と地域の境界線をなくす」

今、日本中で求められているのは、「学校の外で学び、地域の未来を考える力を持つ若者」です。
その舞台を整えられるのは、地域という現場と予算を持つ自治体に他なりません。

もし今、旭川市が若者のまちづくり参画を本気で進めたいなら、探究学習・起業家教育の制度化こそが第一歩です。
それは単なる“教育への協力”ではなく、未来を担う人材を育てるための“まち全体の投資”なのです。

ツクルヒトの支援スキーム――自治体と共に創る、地域探究の“実装モデル”

地域探究は“プロジェクト”ではなく、“仕組み”として設計すべき時代へ

これまで見てきたように、探究学習や起業家教育は、単なる教育活動ではありません。
それは、地域の未来を担う若者を育て、まちの構造そのものをアップデートする“地域政策”の一部です。

とはいえ、学校・地域・企業・行政など、多くのプレイヤーを横断的につなぐこうした仕組みを、一自治体単独でゼロから構築するのは非常に困難です。現場で多忙を極める行政職員、学校現場の教員が全ての設計を担うことには現実的な限界があります。

だからこそ、我々ツクルヒトは「探究×地域連携」の伴走支援と仕組み化に特化した支援スキームを提供しています。


ツクルヒトの提供価値:探究支援の全プロセスを“伴走型”で支援

ツクルヒトが提供する支援は、単なる教材提供や講師派遣ではありません。
地域の特性・学校の状況・教育課程の整合性をすべて踏まえ、企画から実行・評価までの全プロセスを一気通貫でサポートします。

▼ 支援の主な構成

  1. 地域資源の発掘とテーマ設計
     - 自治体・教育委員会・学校と連携し、地域課題や産業資源をベースとした探究テーマを設計
     - 「地域ブランディング」「農業×DX」「観光資源の再発見」「福祉の担い手不足」など、まちの重点施策と教育課題を接続
  2. 学校・企業・地域団体との連携構築
     - キーマン調整、役割分担、タイムライン設計など、行政の負担を軽減しながらスムーズな連携体制を整備
  3. 探究学習の運営支援(オンライン・リアル両対応)
     - 授業内実施、放課後プロジェクト、出張ワークショップなどニーズに応じた柔軟な形式
     - 専門ファシリテーターによる進行支援と、成果発表に向けたアウトプット設計
  4. 成果の可視化と広報・報告支援
     - 成果レポートの作成、政策提言資料化、地域メディアとの連携サポート
     - 次年度以降への継続予算化・議会説明に使えるアウトカム設計

包括連携契約により、自治体・教育委員会との“中長期モデル”を構築可能

単年度の委託ではなく、「年間を通じて探究推進を支える包括契約」も対応可能です。
これにより、以下のような行政ニーズに柔軟かつスピーディに対応できます:

  • 学校横断での探究モデル校設計と横展開
  • 総合戦略や教育振興計画への政策提言・データ提供
  • 市職員・学校教員向けの研修・ネットワーキング支援
  • 地域プロジェクト(観光振興、農商連携、移住促進等)との接続

特に予算獲得や庁内説明資料の作成支援にも対応しているため、関係各課との連携が必要な局面でも心強い支援役となります。

旭川市の皆様へ:次世代のまちづくりを“教育”から始めませんか?

旭川市には、既に豊かな地域資源と可能性があります。
そして今必要なのは、それらを若者が“自分のこと”として考える土台をつくること。
それを“政策”として本気で進める自治体こそが、これからの時代を先導していく存在になります。

ツクルヒトは、教育と地域をつなぐ専門パートナーとして、旭川市との包括連携に全力で取り組んでまいります。

まとめ ― 教育がまちを変える、旭川が“探究都市”となる未来へ

旭川には、魅力的な地域資源と、それを再発見し得る若者たちが確かに存在しています。
しかし、これまで両者をつなぐ“仕組み”は、あまりに限定的で、断続的で、点在していました。

私たちは今、その断片をつなぎ、ひとつの「面」に変えるチャンスを手にしています。
その鍵となるのが、探究学習や起業家教育という新しい学びのかたちです。

地域を「学びの現場」に変えることで、若者がまちの担い手になる

教育は、単に知識を与える場ではありません。
社会と接続しながら、「自分は何を考え、何を生み出せるのか?」を育む場所であるべきです。

その視点で見たとき、旭川という都市は、まさに“学びの宝庫”です。
自然、産業、文化、そして多様な市民。すべてが教材であり、すべてが問いの源です。

そしてその中で育った若者は、単なる地域の消費者ではなく、未来を創る主体者=ローカル・アントレプレナーへと成長していきます。

“探究都市・旭川”というビジョンを描こう

もし旭川市が、全市的に探究学習を推進し、市民・行政・企業が一体となって学びを支える仕組みをつくれたなら——
それは単なる教育改革ではなく、「都市のブランド戦略」そのものになります。

  • 「高校生の政策提案が実際の市施策に反映された」
  • 「地元の若者が起業し、空き店舗が新たな交流拠点になった」
  • 「観光、農業、福祉など多分野で、高校生が社会実験を行っている」

そんな未来は、決して絵空事ではありません。
全国ではすでに、そうした事例が実現し始めています。
あとは、それを“自分ごと”として動き出すかどうか——それだけです。


ツクルヒトとともに、“旭川モデル”をつくりませんか?

ツクルヒトは、単なる教育プログラム提供者ではありません。
地域を変える“仕組み”を、行政とともに設計し、学校とともに現場に届け、民間とも協働しながら成果を創り出していく伴走型の連携パートナーです。

旭川には、全国にも誇れるだけの素材と可能性があります。
あとは、それをつなげ、形にし、継続するエンジンが必要なだけです。

私たちは、旭川が「探究都市」として全国のモデルになる未来を本気で描いています。
そしてその一歩を、いまこのページを読んでくださっているあなたと、共に踏み出したいと願っています。

教育からはじまる地域づくりを、私たちと一緒に始めませんか?

ツクルヒトでは、探究学習や起業家教育を地域政策と接続するための自治体向け支援スキームをご用意しています。

  • 学校との連携に必要な体制づくり
  • 年間を通じた伴走支援・包括連携モデルの設計

すでに全国で複数の自治体との協働実績があり、旭川市のような中核都市だからこそ実現できる“地域探究のロールモデル”づくりを全力で支援します。

👉 導入をご検討中の自治体担当者様へ

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